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 人生、大いに遊んだらいいじゃない―。
東京の郊外に居を構え、上り窯から次々と焼き物を生み出す。
そして時には、静かにお茶をたてて、庭にたたずむ―。
生活全般を豪快に、そして真面目に遊ぶ作陶家、辻清明氏のいとなむ「人生の理想」に憧れ、氏の「遊びをせんとや生まれけむ」という言葉をお借りして「ギャラリーさとう」が平成八年十二月七日に産声を上げました。

 そして、日々の暮らしに溶け込んで、生活を心豊かにしてくれる器など、使うための器でありながら、鑑賞にも堪え得る内面的な力のあるものを選んで展示するよう心掛けました。四季の変化に気づかず、自然との会話をしなくなっている今日(きょう)この頃、ゆっくりといいものを見、落ち着いた雰囲気の中で、作品とともに静かな時を、また語らいを楽しんでいただけるよう努力を重ねてきました。

 あっという間の三十年でした。
そんなギャラリーさとうのオーナーもとうとう今年のお正月で、生命の終わりのさほど遠くない卒寿の九十歳。
ラストスパート期を迎えました。

 たしかに九十歳ともなると人間、痛みも激しく歩行困難、耳も遠く、目もかすみ、なかなか大変です。
でも年を取ったからこそ「新しい世界がひろがるかもしれない」という気がします。
時に、はて・・・、どう生きようかと思案に暮れますが、あまり先のことまで考えずに一日一日を大切に、ギヤラリーの来客や、作家さんたちと楽しく、おおらかに、そして時にはときめいて過ごすことにしました。

 生きている間に、自分でやれるだけの、楽しいことをやってみたい。
年をとつてもしょげたことはしたくない。努力だけは忘れずに。

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# by gallery-sato | 2025-01-21 13:50

エッセイ「あやふや」


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ついこの間、句誌「京鹿子」のページをめくっていると、敬愛している和田照海氏の「鬼灯(ほおずき)を揉んで白寿へ近づきぬ」という句が目につきました。
 人生百年時代と言われるほど、日本人の寿命が伸び人生設計の立て直しを迫られる昨今です。先生の「鬼灯(ほおずき)」という季語との取り合わせの意外性が際立ち、「白寿」という措辞にとても魅せられ、ロマンすら感じ、とても心に響きました。
 むかし若かったころ詠んだ俳句「寒の月歩み来た道真一文字」を、先生が、「人が過去を振り返るとき生きてきた道が見えてくる。曲がりくねった道、消えそうな細い道など。幸枝さんの過去はゆるぎない一本道であると」と評価していただいたことがいまだに忘れられませんが、若いときは、それ程がむしゃらに、ひたすら前だけを見つめて、あやふやな一本道を息を切らせてひたすらまっすぐに走り、ギャラリー業に励んでいたようです。六十歳の還暦からはじまり、古稀、喜寿、傘寿、米寿を過ぎて今年は卒寿。やがてまもなく白寿を迎えます。
 そんな私も、年を取ると体中が老化して動きが鈍くなり、今までできていたことができなくなってきました。とても悲しいことですがこれは防ぎようがありません。だから老いと仲良くお付き合いさせていただこうかと覚悟を決めました。
すると、面白いことに見落としていたものが見えるようになります。できないなりにできるように知恵を絞ってできるように工夫をするようにもなります。だからこの頃は「年を取ったからこそ新しい世界が開けるかもしれないと、わくわく感が蘇ってきました。この調子で年を取ってまいりますと、白寿に到達すればどんな世界が見えるでしょう。まさにロマンです。
私の進む道はあやふやかもしれませんが自分のやれるだけの楽しいことをやって過ごせばきっと素敵な白寿を迎えることができるだろうと、心がはずみます。


# by gallery-sato | 2024-07-20 14:47

ギャラリーさとう:幸枝の公開日記です。感動いっぱいで綴れれば幸いです。


by gallery-sato