人気ブログランキング |

1月の私のエッセイ「老いの始まり」

 a0088892_10484454.jpg



 3月に予定の版画展「さくら猫」の作者、宇田川民生さんから賀状として送られてきた猪です。




               老 い の 始 ま り

 年の干支は亥(い)。そし私は七回目の年女。いくら猪突(ちょとつ)猛進のイノシシも七回目を迎えるといささかくたびれてくるようです。
 いときにはどんなことにも敢然と立ち向かい目的を達成するため、わき目も振らずそれこそ、猪突猛進で懸命に事に当たっていたようです。ところが亥も七回を迎えますと八十四歳になりそろそろ老化の始まりを感じるようになりました.

 れでも、たった四、五年前のことですが八十歳を過ぎたばかりのころは、春の桜どきにはお花見に、暑い夏の盛りには涼しい山へと、仕事で忙しい若かったころには、味わうことのなかった愉(たの)しみしみも覚えたのでしょう、少々のよそ見をするようになり、このゆとりが老いの始まりなのかと老いを賛美するかのように、周りの人たちに「人生は六十歳から面白くなって七十代はもつと楽しく、八十代はまだまだ伸び盛りなんよ」とお声掛けもしてルンルンの気分でした。

 ころが昨年五月半ば、以前から警告を受けていた骨粗しょう症が原因と思われますが、どうしたはずみかにわかに腰に劇痛を覚え脊椎の圧迫骨折を発症したらしく、歩けなくなつたのです。
 頃になってやっと痛さをこらえて歩けるようになったのですが、人手を借りなければ何もできない自分、圧迫骨折で体型が変わり、背中も丸くなり、七センチも背が低くなった自分の老いのみじめさに、つくづくほんものの老いが始まったのだと悲しく思いました。

 んなときです。今年三月、さくらの花の咲くころに予定している版画展「さくら猫」〈仮称〉をしていただく宇田川民生さんから賀状が届きました。元禄時代の歌人飯塚染子が詠んだ「花ならば 花ならましを桜花 花の色香を 花に任せて」という歌と共に。〈花の心は花にしかわからない、桜の色香は桜自らが生み出すものならば私は桜そのものに成ろう〉という意味だそうです。
 
に「亥年生まれの私は想う、猪突猛進だけが猪ではなく桜の木の下で花を愛でるそんな猪なろうと」、宇田川さんのコメントもついていました。
 
 の素敵な感性に満ちた賀状で腰の痛さが癒されたのでしょう、しっかり元気をいただきました。日ごろからギャラリーを営みながら来客や作家と共に感性の豊かさを育んできたからこそのお蔭だと思います。

 十代はまだまだ伸び盛り、老いの始まりもなんのその、何歳になろうともギャラリーを大事に、元気を出して、もう少し頑張って生きてみましょう、と思うのでした。









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






 

by gallery-sato | 2019-01-17 11:33 | 一日一文

ギャラリーさとう:幸枝の公開日記です。感動いっぱいで綴れれば幸いです。
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31